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― 風まとう祇王 ―

【祇王】
 「沙耶、世話をかけたな」

風が舞う。
わたしの符など比べ物にならないほど、
清けき力をまとった威風が境内のもやを祓う。

【祇王】
 「わしはおぬしのようなモノには負けぬ」

【カガチ】
 「なっ――」

赤妖が反応するよりも早く、風の刃が奔る。

一閃。

赤く長い髪の毛一房を犠牲に、それを避けたカガチだったが、
突き、薙ぎ、振り下ろす風に追い詰められていく。

更に一閃。

真横に奔った刃をもろに受けながらも腕を上げ、
雷を呼ぼうとしたその刹那、

【祇王】
 「させるかっ!!」

鋭い回し蹴りがカガチの腹部に放たれる。

カガチの細い身体は弾き飛ばされ、
二度三度と地面に叩きつけられ、止まった。