一樹・樒 編

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専門書
………………。

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画集
………………。
日没![]()

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一樹
日が沈みましたね。
大変失礼いたしました。
こんばんは、専門書の一樹です。

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樒
……樒、だ。

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一樹
テーマを決めて話すように、とのことなのですが……
樒、どうしましょうか。

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樒
……知ら、ない……。
喋る、のは……苦手……だ。

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一樹
コーナーの根幹を最初から否定するようなことを
言わないでください……
しかし困りましたね。

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樒
……ごめん。
……話題に……困った、ときは……
天気の話を……すればいい、と聞い、た……

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一樹
一理ありますね。
ちょうど、世間は梅雨入りだそうですし。
雨が続くこの季節は、色々と大変です。
なんと言っても私たちは本なので……

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樒
湿気……ダメ、絶対……

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一樹
ですね。湿気で紙がよれる原因になりますし、
ひどいとカビが生えてしまいます。

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樒
湿度……気温、の管理……
管理人の、仕事の……ひとつ。

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一樹
ええ。管理人となる方には、
頑張っていただきたいと思っています。
夜、動ける私たちは、まだやりようがありますが、
クローバー図書館の本すべてが、そうではありませんから。

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樒
もし……図書館の、本が……みんな、
俺たち……みたい、に動いた、ら……

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一樹
………………。

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樒
………………。

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一樹
ぎゅうぎゅう、ですね。

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樒
狭い、な……
柊・莉玖 編

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柊
………………。

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莉玖
どうしたの、柊ちゃん。
イライラしちゃって。

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柊
……じめじめする。掃除が捗らない。
奴らが、カビがくる……

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莉玖
そりゃあ、梅雨だもん。
前回、一樹ちゃんと樒ちゃんも言ってたでしょ。
ボクだってじめじめするのは好きじゃないけど、
柊ちゃんはちょっとピリピリしすぎだよ。

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柊
梅雨のないところに行きたい。
北海道には、梅雨がないと聞くが……

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莉玖
それ、ホント?

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柊
正確には、知らない。
ちょっと調べてみるか。
幸いここは図書館だからな。資料には困らない。
数十分後![]()

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柊
ふむ、なるほど。北海道には、梅雨はないが
少しだけ肌寒く、雨が降りやすい時期がある、らしい。

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莉玖
へー、雨の量も違うんだねえ。
ひとつ賢くなったよ。
それにしても北海道かぁ。

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柊
どうした?

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莉玖
北海道といえば、
おいしい食べ物がいーっぱいあるなぁって思って!
お菓子なんてもう……よだれが出そうだよ。

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柊
おい、よだれを垂らすな。
それに今はそんな話をしているんじゃない。
いかにこのじめじめした季節を乗り切るか……

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莉玖
あー、いいなぁ。ボク、北海道行ってみたい。
ソフトクリームでしょ、ポテトチップスでしょ、
生キャラメルにバター飴、チョコレートに……

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柊
ふむ……それに北海道では、
“例のアレ”が出ない、と聞いたことがある。
実際に行ってみないことにはわからないが、これは……

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莉玖
チーズケーキにプリンにクッキーに
生チョコ、とうきび、メロン……

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柊
いや……いっそのこともっともっと北なら
菌類もいないんじゃないか?
それならカビも生えない……?
目指すべきはそこなのか……?

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莉玖
なんか、すーっごく有名なお土産もあるんだってね?
……あれ? 柊ちゃん?
なにブツブツ言ってるの。

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柊
おい、莉玖。
ちょっと北極圏まで実地調査だ。

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莉玖
えええ?! ねえ柊ちゃん落ち着いて?
朝になっちゃうよ、ちょっと、ねえってばー!
葵・棗 編

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葵
ようやくオレの出番か。やー待ちくたびれたよ。
ま、真打ちは最後に登場って言うしね。

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棗
うーん、まぁそういう言葉自体はあるけれど……
単純に順番でしょ?

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葵
なんだよ、ノリ悪くない?

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棗
別に? 葵より落ち着いてるだけ。

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葵
それにしても、なんでオレ達2人で出かけてるんだ?
どうせなら、可愛い女の子と出かけたいんだけどね、オレは。

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棗
前の2組がずっと図書館の中にいたからね。
雨もあがったし、ちょっと気分を変えるのもいいと思ってさ。
ほら、紫陽花が咲いてる。
もうそろそろ時期も終わりだね。

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葵
だな。ようやくじめじめした季節があけると思うと
せいせいするよ。
特に柊のやつがピリピリしてるからなぁ。

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棗
柊はキレイ好きだからね。
でもそのおかげで、うちは掃除が行き届いてるからさ。
あ、見て見て、あの紫陽花。

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葵
うん?
……うわぁ、すごい色だな。
紫陽花ってあんな赤くなるんだ。

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棗
ねぇ、知ってる?
紫陽花って植わってる土の性質なんかで
色が変わるんだって。

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葵
ああ、なんか聞いたことある。
土が酸性かアルカリ性かで変わるんだっけ?

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棗
そうそう。それでほらよく言うじゃない……
赤い紫陽花の下には、死体が埋まってる……って。

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葵
ちょ……いや、それは……
お前が言うと、なんかシャレにならないんだけど。

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棗
そう?
……あれ? なんだろう。
紫陽花の茂みから何か音がするんだけど……?

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葵
な……

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???
♪ガサッ…ゴソゴソゴソ……

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棗
ふふ、紫陽花の下からよみがえってきた……なんてね?

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葵
おい、マジでやめろ。
……やめてください。

-
???
♪ガサガサッ…ゴソ……

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葵
……!

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クゥ
にゃあ

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葵
うわあああっ。

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棗
あ、葵?!
……行っちゃった。
相変わらずクゥのことは苦手にしてるね。
うーん……それとも、脅かしすぎたかな?

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クゥ
にゃー?



